文化のたすき
更新日:2024年05月23日

霞ヶ浦の文化遺産「帆引き船」を残すため、帆をはる男たち

ライター:
ibaraki-kasumigauura

【今回の取材地】

面積:156.60㎡
総人口:39,207人
人口密度:250人/㎢
隣接自治体:石岡市、土浦市など
(2023年12月1日時点)

今回滞在したのは、茨城県かすみがうら市。「船に乗り続け、船を遺そうとする男たち」。決して豊かさにはつながらない、それでも乗り続ける人たちの想いとは。

私が滞在したのは10月のこと。レンコンの葉が枯れ始め、秋が深まっていた。

茨城県は肥沃な大地に恵まれて、全国でも有数の一次産業が盛んなところ。その中でもかすみがうら市は、市名の由来にもなっている霞ヶ浦を有し水産業で栄えた町。ワカサギ、シラウオ、ウナギ、コイなど、多様な魚種が生息している。

ただ、近年の水温の変化による漁獲量の減少や漁師の高齢化に伴い、霞ヶ浦の漁業は厳しい局面に立たされている。そして今年になって、特にその漁業が盛んな地域だった旧霞ヶ浦町は過疎地域指定を受けることになった。

そんな時代の変化もあり、湖上は静かな波を立てるだけ。それはそれで十分に美しいのだが、昔はこの湖で沢山の船が操業されていたことを考えると、どこかセンチな気分に。

ただ、毎週土曜日だけは別だ。夕刻になると、霞ヶ浦に浮かぶ2隻の船を見ることができる。

その船とは「帆引き船」。帆をはり、風の力で進む。

私は滞在中、帆引き船の「生き字引」と呼ばれ、現役で乗り続ける88歳の男性と、その意思を継ごうとする「漁経験の無い素人」の男性に出会った。

なぜ、船に乗り続けるのか。

なぜ、嬉しそうな表情で、霞ヶ浦を眺めているのか。

文化を遺す意味とは?

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