文化のたすき
更新日:2024年05月23日

山梨の知らぬ地に眠る宝|天空の止まり木

ライター:
yamanashi-ichikawamisato-hanko

【今回の取材地】

山梨県 / 市川三郷町
面積:75.18㎢
総人口:13,857人
人口密度:184人/㎢
隣接自治体:富士川町、身延町など
(2024年1月1日時点)

市川大門駅から車を走らせて30分ほど、県立自然公園である四尾連湖の方に進むと「近萩(ちかはぎ)」という小さな集落がある。

標高800mほどの山間にポツンと立派な古民家。築180年ほどのこの家を改修して、宿泊施設を運営しているのは「ちかはぎ空の家」。

鈴木美樹さん、夫の啓太さん、美樹さんのお母様である勇子さんの3人が、あたたかく迎えてくれる。

「どこか懐かしい。そんな場所になれたら」

「私たちにとって当たり前の日常を、特別に思ってくれることが嬉しい」

「自然の中で生きていくことを体験してくれれば」

ここでは、ジビエ料理、山梨の名産である手作りのおうどん、大塚ニンジン、あけぼの大豆など、地のものをふんだんに使ったお料理が振舞われる。

囲炉裏を囲んだ居間には、突き抜けの2階の窓から太陽の光が差し込み、あたたかい空気を演出してくれる。

宿から少し歩けば、山間から開けた景色を一望できる場所がある。

木々の擦れる音や鳥の鳴き声に耳を傾けたり、透き通った空気を吸い込んだり、夕景で鮮やかにオレンジ色に染まった山々を何も考えずに見つめたり。

忘れ去られた日本人の原風景が至る所に詰まっているのである。

多様な暮らしが認められる現代だが、疑似的にそれを体感できる場所と出会うことは簡単ではない。

この空間では、そんな暮らしと出会うことができるかもしれない。

関連記事