文化のたすき 手仕事のいま
更新日:2024年06月12日

私たちが繋ぐ、世界に認められた伝統的工芸品

ライター:

【今回の取材地】

栃木県 / 小山市
面積:171.75㎢
総人口:165,991人
人口密度:966人/㎢
隣接自治体:栃木市、下野市、茨城県結城市など
(2024年4月1日時点)

結城紬は鬼怒川流域の、栃木県小山市、下野市、茨城県結城市およびその周辺で生産されている絹織物だ。

その中でも、完全な手紡ぎ糸で織られた、本場結城紬は最高級織物としても知られている。
全ての工程を手作業で行い生み出される生地は、ふわりと軽くあたたかい心地よさと美しさ、そして丈夫さをあわせ持ち、その昔は広く人々に愛用されていたという。

製作には、簡単なものでも3カ月、複雑な柄だと1年以上の歳月を要する。気の遠くなるような緻密で繊細な工程が、精緻な亀甲模様や美しい絣柄を生み出すのだ。その技術が評価され、1977年には国の伝統的工芸品に指定、2010年には「本場結城紬」の名でユネスコ無形文化遺産に登録されている。

しかし、和服文化の衰退と、高級品であることから、「手の届かないもの」として失速している。

小山市周辺では、結城紬関連の資料の展示や紬織物の体験、着物体験を気軽に楽しむことができる施設が整備されているが、結城紬自体が、市外はおろか地元の方々にすら、あまり認知されていない現状だと、坂入染織店は危惧している。

「こんなにも素晴らしい伝統工芸が、故郷にはあるんだ」

「世界にも認められた誇るべき文化・技術とは、どんなものなのかな」

一人でも多くの方に知ってもらうことが重要であることは明白だ。どのような技術が活用されていて、どのように生み出されているのかを知ってもらうことが、モノの価値の理解に繋がり、シビックプライドの醸成や、伝統の保存にも繋がっていくのだろう。

【撮影協力/出演】※敬称略  
栃木県産業技術センター紬織物技術支援センター
髙椅神社
糸つむぎ・真綿かけの伝統技術を守る会 代表 永田 順子
坂入染織店 坂入 則明/幸子
株式会社あを 代表取締役 青栁 徹
モデル / ナレーション 浅井 香穂

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