手仕事のいま
更新日:2024年05月23日

山梨の知らぬ地に眠る宝|受け継ぐのは血ではなく意思である

ライター:
yanamashi-minobu

【今回の取材地】

山梨県 身延町
面積:301.98k㎡
総人口:9,534人
人口密度:31.6人/㎢
隣接自治体:富士川町、甲府市など
(2024年1月1日時点)

山梨県峡南地域。市川和紙や西嶋和紙など和紙の生産で盛んな地域である。

どこの地域でも同じ状況ではあるがこの地域でも少子高齢化が進み、和紙職人の担い手が不足気味である。

身延町の「富士川クラフトパーク」で和紙工房を営んでいる宮本重男さんは、甲州和紙職人のひとり。

宮本さんはもともと普通のサラリーマンであった。

「魅せられちゃったんだよなぁ。人生をかけてでもやりたいことが見つかったんだよ」

今でこそ世襲や血筋に振り回されず、人生の道を選ぶ人は沢山いる。しかし宮本さんが転身したのは約20年ほど前のこと。当時の宮本さんは現役バリバリのサラリーマン。なかなか簡単にできることではない。

和紙のような伝統産業は、従来的には血縁関係のある親族が継承することが多く、それもまた伝統を続けることの難しさでもあった。しかし、最近は血縁など関係なしに継承する人が増えてきている。

宮本さんは、そんな時流より少しばかり早く、自分の「好き」を貫いた方である。

「好きなんだから仕方ねぇ、俺は決めたんだよ。この甲州和紙を作る人が誰もいなくなっても、俺一人になっても、やってやるって」

力強く、それでいて優しく和紙を取り扱う様を見ていると、確信に満ちた「好き」の気持ちを感じ取ることができる。

(この動画は、私たちにとって始まりの動画である。心より感謝を込めて)

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