文化のたすき まちを拓く人
更新日:2024年09月19日

呉服店が交流拠点へ、文化と人が集まる場所

ライター:
mie-matsusaka

【今回の取材地】

面積:623.58㎡
総人口:154,734人
人口密度:248人/㎢
隣接自治体:津市、多気郡多気町など
(2023年8月1日時点)

松阪で継承される日本の心

「松阪に来たらこの人に会わなきゃいかんよ」と、食事処を営むご夫婦に教えていただいた場所がある。

ご夫婦の言葉を頼りに、JR松阪駅前の商店街から伊勢街道へ折れ、一本裏の通りへ。

すると、趣のある建物が目に入る。

東村さんが営む、東村呉服店だ。

建物の外観は、古き良き”和”と、洗練された”新しさ”を感じさせる造り。

下調べはしていましたが、予約の電話はしておらず、取材のアポも取っていなかった。

ただ、この先に何があるのだろうと好奇心を煽られ、足を踏み入れた。

内階段を上り、戸を開けると、まるで自然の中にいるような開放的な空間が広がっていたのだ。

たくさんの窓から陽光が差し込んでいた。

呆気に取られていると、お茶を運ぶ東村さんの姿があった。

「こんにちは。お一人かしら?」

「こんにちは。はい、一人です」

「ジンジャーエールがおいしいよ」

私は席に着き、棚に並んでいる絵本や雑貨コーナーを眺めていた。

松阪の歴史にまつわる本、着物の本、子供向けの絵本。

すっかり見かけなくなったCDコンポからは、

聞き覚えのあるBGMがこぼれている。何という曲だっただろうか。

不思議なほどにおいしいジンジャーエールを飲み切るころ、

他のお客さんを見送った東村さんは、私の向かいの席に座った。

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