文化のたすき あの日の味
更新日:2024年05月23日

望郷の味|つつっこ|端午の節句に出会う、家族が集まる思い出の味

ライター:
saitama-chichibu

【今回の取材地】

面積 577.83㎢
総人口 56,960人
(推定人口、2023年8月1日)
人口密度 98.6人/㎢
隣接自治体 飯能市、比企郡ときがわ町 など

地域の郷土料理を作る方を紹介して、日本人の原風景を疑似体験してもらう「望郷の味」シリーズ。第2弾の舞台となるのは、埼玉県秩父郡である。

秩父にはいくつか郷土料理があるが、今回ご紹介するお料理の名前は「つつっこ」「えびし」と聞き馴染みの無いお料理。日本の郷土料理は数多く、一般的には知られていないものの一つかと思う。

お料理を作って下さる新井えつ子さんは小鹿野地区で旦那さんとお二人で暮らしている。つつっこは子供の日に食べる文化があり、紫陽花が咲きそうになる時期にはお子さんやお孫さんが帰郷し、家族みんなで地元の味を楽しむそう。

大豆を入れたもち米を栃の葉に包んで蒸す、というシンプルな料理方法ですが秩父の土地柄を反映させた保存食だ。

秩父は山岳地域で平坦な道が少なく稲作には不向きな条件である。そんな中で一次産業に従事する方はもっぱら畑仕事。そこで活躍したのが満腹中枢もしっかり満たしつつ、保存も効くつつっこで、携帯食として重宝された。

えびしは、冠婚葬祭などハレの日の会食には必ず食卓に上がる縁起の良い郷土料理。これもまた、昔は婚礼の期間が長丁場に渡ることもあり、日持ちのするえびしが作られたそうだ。デザートのような位置づけのようだが、地元の方はお酒を片手にピリッと香ばしいえびしをおつまみにして食べることが多いそうだ。

子どもの日や、冠婚葬祭。家族みんなが集まる思い出の時間には、秩父の郷土料理の姿があるようだ。

関連記事