あの日の味
更新日:2024年05月31日

望郷の味|しもつかれ|81歳のおばあが作る、家族と地域の思い出の味

ライター:

【今回の取材地】

栃木県 / 宇都宮市
面積:416.85㎢
総人口:511,519人
人口密度:1,227人/㎢
隣接自治体:日光市、鹿沼市、下野市など
(2024年4月1日時点)

栃木県には「しもつかれ」という郷土料理がある。文化庁の食文化機運醸成事業の一貫である「100年フード(令和3年度)」にも選出された、伝統的な栃木県民の味だ。

正月に食べた塩引き鮭の頭や、節分に煎った福豆の残りの大豆などの残り物を使った、先人たちの知恵が詰まった一品であり、もともとは稲荷神社に供える行事食である。時期としては2月の初午の頃にのみ食べられる。

この時期、しもつかれを作る地域の家では、グツグツと煮込む音が聞こえ、独特の香りが漂う。その懐かしい音や香りに惹かれるように家族や近隣の人たちが久々に一同に会し、思い出や近況話に花を咲かせる。味付けや具材は家庭によって若干異なり、だからこそ同じ料理であっても、家庭の味を感じ取ることができる。

若色マサ江さんが作るしもつかれも世代を超えて脈々と受け継がれてきた味だ。

今もなお、家族がともに過ごす時間を共有する場所には、しもつかれがあるのだろう。

関連記事